言語ゲーム

とあるエンジニアが嘘ばかり書く日記

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Amazon Kindle と過ごした一週間

Kindle を手に入れてから一週間が経過したので、どんな感じか書きます。

最初に Kindle でやってみたかったのは、今読んでる途中の A Fire On The Deep という小説を文庫本と Kindle で比べる事でした。しかし、なんと注文した Kindle が届いたその日に、Amazon がその本の扱いをやめてしまったのです!期せずして Amazon / Macmillan 戦争のとばっちりを受ける形になってしまいました。

Amazon / Macmillan 戦争というのは、発端があの大騒ぎになったスティーブ・ジョブズiPad 発表にあります。それまで、Kindle の小説の上限は $9.99 までと Amazon が決めていました。Amazon電子書籍を独占していたので、出版社はそれに従うしかなかったのです。しかし iPad では出版社が自由に値段を付けてよくなったので、大手出版社の一つ Macmillan が値段を上げると通告したのです。Amazon はそれに怒って Macmillan の本の扱いをやめてしまいました。

最後には Macmillan が、「うちの本はどこでも買えるけど Amazon では買えない」という 新聞一面広告を出す泥仕合 になったのですが、結局 Amazon が譲歩し、じわじわ本が戻ってきました。私の読みたかった本が戻って来たのはようやく今朝の事です。

さて、Fire On The Deep が届くまでも色々な物を乱読していました。多くの本に無料サンプルがあるので、とりあえず沢山サンプルをダウンロードして冒頭を読むだけでも面白いです。ただしサンプルからあまりにも簡単に正式版が買えるので、うっかり何度か買ってしまいました。それで、普段はネット機能をオフにしています (うっかり買っても、冷静に画面をみるとキャンセルも出来ます)。

あと、意外と新聞が良いです。ページ送りが遅いので紙の新聞とちがってパラパラ読むというのには向いてないけど、どうせ新聞なんか買っても全部読めないので、知りたいテーマで検索してざくっと読むには最適です。

Kindle にもしょぼいウェブブラウザがついているのですが、実用的なのはウェブ上で見つけた面白そうな記事を http://www.instapaper.com/ というサイトに一旦コピーして、Kindle に送るやりかたがあります。いままで長いウェブの記事は印刷して読んでいたのですが、もうその必要無くなりました。

今日は朝からずっと A Fire On The Deep を読んでいるのですが、読書体験がこれからがらりと変わるだろうなという予感がします。むしろ最近の小説は電子書籍として読むのが本来の読書の姿なのかも知れません。考えてみてください。最近の作家はパソコンを使って小説を書き、執筆時には検索などのコンピュータの機能を駆使します。電子データが作家にとっての肉筆であり、紙では無く電子書籍のほうがオリジナルにより近いわけです。

A Fire On The Deep が書かれたのは九十年代ですが、作者の解説には grep などのツールを使って書いたとあります。これじゃ紙で前から読んで行って途中で訳が分からなくなってくるのは当然だと納得したのでした。