いつの間にか小学六年生の長女が鮭の骨を取れるようになった。しょうもない話だが、私にとっては少々因縁めいた話だ。二年生の時に、長女の不登校のきっかけとなった事件が起こった。義弟が釣った鮭を妻が台所で捌いていて、横で見ていた長女の足に出刃包丁を落とし、11針縫う怪我をしたのだ。それからは何となく鮭の話をしないようにしていたのだが、特に教えてもいないのに長女が鮭の骨を取れるようになったので、鮭には小骨がある事や、以前家で捌いた事がある事をそれとなく話した。無反応だった。トラウマ治療にはエキスポージャ療法と言って、トラウマの記憶を思い出して安全である事を再確認するプロセスが必要らしい。今まで長女には耐えられないと思ってたけど、そろそろ検討しても良いかも。
怪我のせいか不登校のせいか、長女の成長は遅い。六年生にしてはできない事が沢山ある。いまだ歯磨きがちゃんとできなくて、私が仕上げをしている。算数もわからない。でも遅いだけで、成長が止まっているわけではない。みんなに合わせて成長しないといけない義務があるわけではなく。本来教育は個人の成長のスピードに合わせるべきだと思う。学校ができる以前の子供はそれぞれ家庭で育てていたので、きっと今ほど育つスピードを心配しなくて良かったろうな。現代の子育ては辛いな。
そんなわけで、少しづつ回復に向かっていると思いきや、さっきは「なんか変な感じがする」と言って長女が泣き出した。不定愁訴だ。うちの子の場合完全に意味がわからない不定愁訴は稀で、大抵お腹が空いていたり熱の出る予兆だったりする。ただ現時点では原因がわからないので泣く長女を前にオロオロするばかりだった。なぜか妻も同時に機嫌が悪くなり、「ご飯を食べないからだ」とか「運動しないからだ」とか長女を責め出したので険悪なムードになったが何とかお風呂に入れて寝かす事ができた。
気を遣う週末だった。


