言語ゲーム

とあるエンジニアが嘘ばかり書く日記

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願いは叶うか?

渡米の前に住民票を実家に移すため、高槻の市役所に行ったり、色々手続きをしていた。まだビザが届くまで時間があるのだけど、飛行機は 15 日の片道切符を予約した。歳をとると環境の変化が億劫になるのか、正直腰が引け気味だったんだけど、もう先に進むしかない。

私が始めてアメリカを意識したのは小学生の頃だと思う。エジソンの伝記を読んで、アメリカという所は耳の聞こえないちびっ子少年が知恵だけで大出世する凄い国だと思った。前にも書いたけど私は隠れオタクとして迫害されていたので、自分を出して生きていく事が出来るアメリカに憧れて、いつかアメリカで自由に生きたいと思っていた。

と、そういう風に思っていたのは十代までで、大人になると実は日本でも結構自由に生きて良い事が分かったので、あまりアメリカの事は考えなくなった。逆に欧米よりアジアの方がずっと良い!と思ってたんだけど、それからパソコンの仕事をするようになってアメリカに何度も行くようになった。一応小学生の時の願いは叶った。

そもそも、パソコンで仕事をするというのも随分夢のような話だった。小学生の時最初はナイコン族だったので、マイコンが家にあればどれだけ幸せだろう、仕事がマイコンだったら毎日夢みたいだと思っていた。高校の時は英語も数学も出来なかったので、ああいう仕事をする人は別人種だと思っていた。大学生の時に小松君と、生まれ変わったら何をしたいかと話していて、冗談でユーザインタフェースという物を作ってみたいと言った記憶がある。看板工場でアルミを溶接していた時は、CAD の部屋で図面を引いている人は超エリートだと思っていた。

ふと、長いスパンで見たら願いというのは叶うのではないかと思う。20年前の願いが今叶った所で正直あまり有難い感じはしない。けど現実とはそういう物だ。去年の願いが今叶うような幸運を求めなくても、20年くらいかけて実現するような事なら何とかなるんじゃないか?

恥ずかしいからあまり人には言わないが、今でも毎日のように彫刻を作る夢を見る。彫刻を断念した時は、自分が世界一不幸でこの後何も良い事は起こらないに違いないと思っていたんだけど、今になって小学生の頃の夢が叶うという事は、あと十年くらい経つと、再び木屑に囲まれる日が来るんじゃ無いかと思っている。