言語ゲーム

とあるエンジニアが嘘ばかり書く日記

Twitter: @propella

見るのを見る事は出来る。聞くのを聞く事は出来ない。

今日は西宮大谷美術館で藤本由紀夫さんの個展を見た後、はねうさぎにて魂の芸術大学によるグループ展にお邪魔した。一日の初めのうちは、なんだか今日は日記に書くことが沢山あるなあと思っていたが、一日も終わりになると沢山ありすぎて書けないという事が分かった。何も書かないのもなんなので藤本さんがレクチャーで紹介したデュシャンの 1914 年の言葉を書く。

見るのを見る事は出来る。聞くのを聞く事は出来ない。

全体として藤本さんのレクチャーのテーマは、いかにデュシャンが遠近法と視覚の世界から自由になるかという話だった。これは、例のアランさん推薦図書の『グーデンベルクの銀河系』にある、印刷技術が視覚人間を登場させた話と結びつけると面白い。

視覚がまだ優位に立っていなかった写本文化においては、視覚、聴覚、触覚が互いに等しい比率を持っていたということ、そしてそれらが相互作用し合っていたということが、言葉においても、美術においても、建築においても、透過する光への愛好を人びとの心の中に育んだのである。

透過する光!デュシャンの代表作が光を透過するのはゴシックへの回帰なのだろうか?