言語ゲーム

とあるエンジニアが嘘ばかり書く日記

Twitter: @propella

未来は遠く細い脇道の果てにあるか?

こないだの飲み会の話題なんですけど、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』に出てくる未来って 2015 年の話だそうです。2015 年ってもうすぐそこじゃ無いですか。それなのに僕達はまだ空を飛ぶ自動車にもスケボーにも乗っていない。あと三年しか無いのに、果たしてこれで間に合うのか!

僕達が夢見ていた21世紀はこんなもんじゃ無かった。一体どうしてこうなっちゃったんだろう。という事を考えさせる出来事がその後電器屋でありました。

僕はその日家電を買うために渋谷のビックカメラに立ち寄り、店員さんに掃除機について伺っていました。店員さんは日立の三万円台の掃除機をしきりに薦めるのですが、ふと横を見ると全く同じ形の製品が二万円台であるじゃないですか!これはひどいと思って一体なんでこっちはこんな安いのか違いがあるのか聞きました。店員さん曰く。

「そちらとこちらは大違いです!この高い方には、フィルターの目づまりを防ぐ為の工夫がしてあります。この電源コードを本体に巻き込む時に、フィルターがカタカタと揺れて、中で埃を払う画期的な仕掛けがあるのです!」

でもそもそもこのフィルターは使い捨てですよねと聞いたのですが、最後まで無駄なくフィルターを使うための仕組みなんですと店員さんは自慢気に言うばかりです。

さて、今度はウォシュレットのコーナーです。お腹の弱い私は、いつか余裕が出来たらウォシュレットを手に入れたいと夢に見ていました。ふと値札を見ると値段は二万円程度、これなら手が届きます。しかし店員さんのお薦めはやはり七万円のものでした。

「この高い方は瞬間的にお湯を沸かし、水を無駄にしないエコな仕掛けがしてあります。おしりに当たる水の形にも工夫がしてあって少ない水で環境にやさしいのです!」

果たして水道代で元を取るには何年使い続ければ良いのだろうと思いつつおしりを洗う機能は同じですよねと聞くと、きっぱり同じですと答えられました。

結局その日は安い方の掃除機だけ買って帰ったんだけど、箱を開けて面食らいました。複雑なアタッチメントが沢山付いていて、ありとあらゆる角度でありとあらゆる物が吸い込めるようになっており、分解収納方法も色々選べるのです。まるで合体メカのおもちゃのようです。私は最低限必要な部品だけ付けて、後は押入れに押しこめました。

僕は色々なヘンテコ発明が好きでトンデモ特許を見てるといつまでも飽きないんだけど、このペースで行くとさすがに未来は遠いわなと納得しました。進化の袋小路と申しましょうか、どうも僕達はどこにも辿り着かない果てしない脇道を伸ばし続けるのに忙しいようです。

よく日本の停滞の原因に、パイを分ける人ばかり増えすぎてパイを作る人がいなくなったからだという比喩が使われますが、そんな単純な話では無い。料理をしていると舌が慣れてきて味が分からなくなります。パイを分ける人がちゃんと美味しい部分を寄りわけないと、食べ切れない量のまずいパイが出来上がります。僕はこのあたりに未来への道筋をつかむヒントがあるんじゃないかと思います。