言語ゲーム

とあるエンジニアが嘘ばかり書く日記

Twitter: @propella

夏の旅

こんにちは。いかがお過ごしですか。

二十一世紀のフウテンの寅を目指す私は、日々が此れ旅の生活をモットーとしておりますが、いよいよ本格的に夏の旅シーズンが始まりました。今回シカゴから始まり、ロサンゼルスの郊外グレンデール市を拠点にボストン二往復と、多分シリコンバレーにも訪問予定です。慌しい移動に精一杯で何も残らなかったという事が無いように、日々の出会いを大事にして行きたいと考えております。

さてシカゴですが、こちらでは三日間にわたり SqueakFest という Squeak と教育をテーマにした催しがありました。Sqeuak を使った教育の実践を各地から持ち寄り交流を行うイベントで、たとえば初日は Bob Irving さんによるゲーム作成の経験、阿部さんによる世界聴診器、Jorn Maloney さんによる Scratch の紹介が、それぞれ体験ワークショップを交えて行われました。

Bob Irving さんのお話は、中学生にいわゆる懐ゲーを作らせる経験でした。フロッガーやピンポンのような物なら Squeak Etoys でも十分に可能で、しかも今遊んでも十分面白いという主張でした。実は私は Squeak Etoys でのゲーム作成には懐疑的だったのですが(8ビット時代の BASIC に比べてさえ自由度が低すぎると思えるので)、実際に作られた作品を見ていると、テーマを絞れば十分に面白い物が出来ると思いました。

阿部さんは世界聴診器の新バージョンの紹介でした。新しい試みとしては、従来からセンサーに使っている二本の端子以外に、もうひとつ電源供給の端子が出来た事で、これにより電気抵抗の計測が簡単になった事があります(と、書きつつ自分でよくわかっていない)。日本の一円玉とアメリカの一セント硬貨を使った国際的な電池を作成するなど、大変面白いプレゼン&ワークショップでした。

John Maloney さんは、三年連続「未公開」Scratch の紹介でした。あまり大きな変更は無いのですが、実際に小学生が作成したサンプルはすばらしい出来栄えでした。前回と違う所は、限定的にもオブジェクト間の通信を行えるようにした事。プレゼンテーションモードでの全画面表示などでした。と、書いても何のことやら分からないと思いますので、私が感じた Squeak Etoys との違いを書いておきます。

  • 一番大きい違いは画面構成です、Squeak では画面全体を作品としてもプログラムを作るスペースとしても使いますが、Scratch では右上の一角だけが作品用のスペースで、他の場所でプログラム作成を行います。これによって画面がぐちゃぐちゃになる事を避ける事が出来ます。
  • 使えるオブジェクトを絞る一方で自由度を上げています。たとえば画面上に置けるオブジェクトはビットマップ(Squeak でいうスケッチ)のみですが、ビットマップの色を変えたりさまざまなフィルタをかける事で、Squeak Etoys より自由な表現が可能となっています。
  • プログラムとしてあるのが当然の機能を大胆にカットしています。たとえば Scratch には「メソッド名」という物がありません。メソッド必ずイベントから呼ばれるので、起動イベントさせ明確であればメソッド名は必要無いのです。

とにかく言える事は、Scratch は機能の限定とパワフルさという矛盾した条件をクリアしたすごいシステムだという事です。一般公開が楽しみです。

あと他に二日あったのですが、書くのが疲れたのでこれで終わりにします。