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とあるエンジニアが嘘ばかり書く日記

Twitter: @propella

無料駐輪場による都市計画

私が政治家になったらやりたい事を書く。それは大阪市内を通る全ての鉄道沿線の駐輪場を無料にする事だ。

私の住む阪急上新庄駅前にも、毎日おびただしい数の違法駐輪自転車で埋まっている。たまにトラックがやってきて撤去を行うが、それもお構いなく道路を占有している。一因として、市営の駐輪場が狭く、昼には満車になってしまうという事もあるだろう。これはモラルの欠如というよりは、損失と見る事が出来る。

何の損失か?もちろん駐輪場が満車である事や有料である事により、本来なら自転車で来られた人が駅前に来る機会が失われている。駐輪場代の150円が払えない貧困層は来なくなるか、違法な駐輪する。トラックで撤去する為の無駄なコストがかかり、取りに行く無駄な手間がかかる。駅前の雰囲気は悪くなる。

全鉄道沿線に無料駐輪場を設置するべきである。駐輪場を設置する事によって駅前の商圏が広がる。わざわざ都市に住むような人々は浮いた駐輪場代を貯めるような事はしない。必ず駅前で消費する。これは駐輪場やトラックに使うよりもはるかに有意義である。なぜなら駐輪場やトラックには工夫も文化無いが、商店街で落とされる貨幣は競争と変化を生む。自転車によって形作られる商圏には自動車をターゲットとしたショッピングモールとは異なる特徴がある。輪郭がはっきりせず、変化が細かく、そして速い。

ショッピングモールの建設と維持には多大な資金が必要なので、きめ細かな変化を生むことが難しい。実際、ショッピングモールはどこも似ている。また、ショッピングモールは内と外に明確な境界線が引き、マージナルを排除する。一方、自転車、もしくは徒歩を対象とした商店街は小規模な、独立した個人の商店から成り、地域ごと、時代ごとの特徴を生み、明確な境界を持たないためニッチな価値を生みやすい。街の魅力はその規模ではなく、特徴と変化速度で計るべきである。

すべての沿線の駐輪場を無料にする事によって、それぞれの駅前は緩やかに結ばれ始める。一駅ぐらいは自転車で移動可能なので、駅と駅を結ぶ沿線全てが商店街となる。むしろ駅前ではないそういった中継地点に、寄り道のような面白い街が生まれる。また、住宅地と商店街の境界を引かないことで治安が良くなるだろう。このような事は、それぞれが単なる独立した点でしかない自動車による都市には不可能である。

自動車の作る街には勝者と敗者がいる。街は勝者の為にあって、その影に自動車に乗れない敗者が蠢いている。しかし、街の魅力はその隙間からこそ生まれる。地方都市の寂れた駅前や、ロサンゼルスのダウンタウンの鉄柵を見るたびに、大阪をそのようにしてはならないと思う。