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とあるエンジニアが嘘ばかり書く日記

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バリ旅行

新婚旅行の記録を書きます。インドネシアのバリ島は僕が初めて海外旅行に行った想い出の地です。大学二回生の頃、音楽学の授業でお世話になっていた中川真先生に感化され、彼の授業で何度も取り上げられていたインドネシアの伝統音楽を自分で体験しなければとバックパック一つで旅に出たのでした。

今回若かった時の事を思い出し人生やり直そう!と思い、20年ぶりにバリの地を踏む事にしました。本当は前回のように現地で安宿を調達して行き当たりばったりの旅をしたかったのですが、今回は妥協して宿は事前に予約したので至って普通のリゾート旅行です。それなりに前回とは一味違う旅を楽しむことが出来ました。

バリへの行き方

東京からバリへはガルーダ航空の直行便がありますが、二ヶ月以上前から予約が要るみたいです。今回予約が取れずジャカルタ経由にしました。成田からジャカルタまで7時間半、ジャカルタからバリ島デンパサールまで2時間くらいでした。

インドネシアに入国する際ややこしいのは、ジャカルタ空港でビザの申請が必要な事です。Visa On Arrival (VOA) と言って、まず25ドル出してレシートを貰い、それと飛行機の中で書いた入国申請と共に隣の入国審査官に提出するとビザが貰えるしくみです。お釣りは現地通貨のルピーで貰えるので、乗り換え中のちょっとした買い食いに使えます。

国内線に乗り換え、現地到着がかなり遅い時間になってしまったので夕食の心配をしていたのですが、幸いジャカルタからデンパサールの線も機内食が出たのでひもじい思いをせずに済みました。

現地通貨はデンパサール空港で降りた直後と、残りは町中で両替しました。さすがは観光の島。正式っぽい両替所の他、おみやげ屋やツアーショップ等、町のあちこちで両替が出来るので、必要に応じてちょっとずつ日本円をルピーに変えてゆけば良いです。空港のレートは良くなかったかも。

1日目(7/6 土): Candidasa

空港からの道すがら、20年前と比べて随分と運転マナーが良くなった印象を受けました。特に空港からCandidasa までは道路が良いこともあって、ほとんど逆走や車線はみ出しを見なくてまるで日本のようでした。

最初の目的地は Candidasa という小さなビーチの小さなホテル The Watergarden http://www.watergardenhotel.com/ です。部屋の一つ一つに鯉のいる小さな池のある素敵な宿でした。ちなみに鯉はインドネシア語でもコイですが、日本の鯉とは種が違うらしいです。ウェブサイトで直接パッケージを申し込むと送迎やディナーやマッサージが付いてて大変楽でした。

2日目(7/7 日): バリ島ミニツアー

初日は Candidasa 周辺をめぐるミニツアーに行きました。

Tenganan トゥナガン

バリ先住民が住むという Tenganan、村の人は他の村の人との結婚を禁じられているそうです。イカットという布とアタという籠が名産です。一見秘境風の村ですが、普通のお家の中が実はお店にもなっていて、村人の日常生活を見ながらショッピングが出来るようになっています。Tenganan にかぎらず、バリの家はどこも敷地に大きな家族寺があって素晴らしいです。

Tirtagangga ティルタガンガ

王様のプールとして作られた離宮ですが、今では一般市民のプールになっています。池に飛び石があって楽しい。奥の方が廃墟になっていてゲームの中の景色のようでした。

Ujung ウジュン

ここも王様の避暑地。大変広大で立派でした。

マッサージ

ホテルのプランに付いていたのでマッサージをしてもらいました。オイルを塗られてゴシゴシしごかれました。

3日目(7/8 月): スキューバダイビング

今回の旅行の一番の目的はスキューバダイビングでした。ホテルで相談するとすぐ業者が来てくれて、Tulamben という所に行くことにしました。

しょうもない話ですが、スキューバで心配だったのが、財布をどうするのかという事と、メガネが無いと見えない事でした。財布については、ツアーの事務所で支払いをする必要があったので、海に居る間ガイドに現金少々とカードの入った財布を預けました。メガネについては、日本であらかじめ度入りのメガネを買いました。スキューバショップに行くと、色々な度入りのレンズがあって選ぶだけだでした。

肝心なスキューバですが、まず事務所のプールで練習してから車で一時間半かけて Tulamben に向かいました。ライセンスが無いのでガイドが全部やってくれて我々はバタ足と耳抜きをするだけです。本当は登ったり沈んだりする空気の操作もしたかったのですが、お前は下手だから全部俺がやるとガイドに言われてしまいました。

潜った時には体外の気圧が上がって耳がツーンと痛くなるので、体内の気圧を上げる耳抜きという技が必要となります。鼻をかむ要領でつまんでフンっと息を吐くと、耳がプシューっとなって耳が楽になります。これは飛行機の着陸前にも使える技なので、もっと早く知っておけば良かったです。

Tulamben には日本軍が沈めた沈没船があって素晴らしいダイビングスポットになっています。無数の穴から出たり入ったりするドジョウやゆったりと漂うウミガメ、数々の美しい魚と出会いました。お値段は三万円くらいでした。

4日目(7/9 火): スノーケリング

もちろんスキューバは素晴らしいのですが、重たい機材を担ぎ、ガスの量に気を使い、ガイドがいなければどこにも行けないので結構窮屈で体力を使います。なので次の日はスノーケリングにしました。スノーケリングというのは、すいとんの術みたいな管を口にくわえるだけです。ただ海面を漂うだけでも楽しいし、潜った後海上で管の水をブシューっと吐き出す技を覚えると気軽に潜れるようになります。変なスーツも無くおしっこしたい放題で、スキューバよりかなり自由に楽しめました。二つのスポットに行ったのですが、お値段は一箇所につき三千円程度とスキューバの十分の一くらいです。

スノーケリングのポイントまでは小舟で連れて行ってもらいます。この舟が民博に置いてあるようなシンプルもので大変良かったです。カヌーの左右に浮きがくっついた形をしています。本当は手でこぐ物だと思いますが、モーターを二つくっつけて器用に操作していました。

5日目(7/10 水): レゴン・バロンダンス

ビーチから一転、山の中のリゾート地ウブドに向かいました。今まで頼みもしないのにお土産屋に連れて行かれるという事は無かったのですが、途中何故か Luwak Coffee というコーヒー農園に立ち寄らされました。ここでは、ジャコウネコにコーヒー豆を食べさせて出したウンチから作るコーヒーというのが売りでした。ジャコウネコは良いコーヒー豆を選ぶのが得意で、豆の表面の部分しか消化しないので、うんちの中の豆の残りを使うと良いコーヒーが出来るそうです。ジャコウネコを見たり、沢山のコーヒーや紅茶を試飲する事が出来ます。全く興味が湧きませんでしたがいずれお土産は必要なので適当に買いました。

さて、ウブド到着。20 年前はこの村のあまりの素朴さに感激しましたが、今見ると随分都会になっていてびっくりしました。スタバもあるし、観光客も一杯です(ウブドはバリの中でも古い観光地のはずなので、私の記憶が違うだけかも知れない)。

泊まったのは Ubud Art Villa (Puri Bukit Sari) http://ubudartvilla.com/ という町中からちょっとだけ離れた小さな宿でした。田んぼに面した斜面にあって、露天風呂(?) もある奇妙な部屋です。Art Villa とだけあって、お茶などはアートっぽくオーナーのお手製の食器で頂きます。オーナーは日本好きらしく、我々が日本人だと分かると色々な焼き物の地名を出してきてあそこへ行った、ここへ行ったと自慢が始まりました。

ウブドはそれなりに大きな村なので、交通の便として我々は四日間自転車を借りました。宿からウブドの中心地まではものすごく急な坂を下って川を渡ってまた坂を登ります。暑くて大変でしたが、小回りが聞いて良かったです。その日は Monkey Forest へ行っておさるにバナナをあげて時間を潰し、夜はレゴン・バロンダンスへ行きました。

ウブドでは連夜どこかで観光客向けの伝統芸能があります。水曜日はウブド王宮でレゴン・バロンダンスでした。天国の制服を企む兄弟を色仕掛けで阻止するというストーリーで、ガムランをバックに踊る姿はなかなか面白く。特にガルーダ役の女の子の表情がくるくる変わって素敵でした。一応事前にあらすじを渡されるのですが、語り部の話すことが分かれば表情の変化の理由が分かってもっと素敵だろうな。

6日目(7/11 木): ケチャ・ファイアーダン

この旅の最大の目的は新婚旅行の名目で過去の足跡を辿り気持ちを新たにする事なので、この日はスケッチをするために画材を探しに行きました。ホテルの管理人 Wayan に聞いて散々迷子になりながら電話局前の彫像を南に下り、Jl. Cok Rai Pudak の Pipin's の北隣りに画材屋を見つけました。

小さなスケッチブック、鉛筆、消しゴム、パステル何本かを手に入れて Jl. Sukma にある食堂 Mama's Warung で小手調べ。たまたま結婚式の行列を見る事が出来ました。僕が荷物番をしている間さやかはちゃっかりお寺の中でじっくり花嫁を観察する事も出来ました。

それから南下して ARMA 美術館でバリの絵画を研究。めちゃくちゃ暑くて汗が流れて辛かった。チケットにワンドリンク付いていたのでカフェ涼みつつケーキを食べながら更に色々スケッチを続けていると夜になりました。

反省点としては、水に濡れても平気なリュックを用意すれば良かったです。すぐに雨がふるので、水泳用具を入れるナップサックにスケッチ用具を入れて背負っていたんだけど、ヒモで肩が痛くなりました。

その夜は Jl. Hanoman の Taman Sari 寺院でケチャを見ました。後で 20 年前の日記を発見して前にも来て同じ感想を持つのですが、全く忘れていました。観光用のよく出来たアトラクションでした。

7日目(7/12 金): ワヤン・クリッ

このへんになると遊び疲れて特にもう何もやってないんだけど、確か一日おみやげ屋で過ごしたような。。。ウブド市場は王宮の近くは観光客向けのおみやげ屋なんだけど、東の奥の方に入るとだんだん暗く怪しい感じになります。そこで今回の旅で初めてうんちを左手で拭きました。最近はインドネシア式トイレでもちゃんとシャワーが付いていてウォシュレット風にお尻を洗えるので、柄杓で水をすくってうんちを拭くのは貴重な体験です。

ウブド市場は典型的なアジア風のおおみやげ屋さんが列をなしていて、前を通ると「安いよー」「かわいいよー」と日本語で声をかけられます。買う時はちゃんと値段を交渉して、まけてもらわないといけません。それはそれで楽しくて、なんだか得したような気さえするんだけど、後で色々お店を回ると、ふつうの独立した店で値札通りに買ったほうが安いという事が良くありました。そういえば今回ウブド市場以外で強引な客引きってあまりなくて、随分上品になったなー。

夜は Oka Kartini でワヤン・クリッという影絵芝居を観ました。ワヤン・クリッはガムランの演奏をバックに一人の演者がストーリーを語りながら細かく細工された平らな人形を器用に操るという物です。ゆらゆら揺れるろうそくの明かりに照らされた影は幻想的でとても綺麗だった。でもストーリーが全然分からなくて、人形の見分けもつきにくく寝てしまいました。蒸し暑いくらやみの中でうつらうつら影を眺めていると、ゴロゴロと空が鳴り出して外は土砂降りの雨になっていました。

8日目(7/13 土): 帰国

最終日はひと通りお土産を買った後、宿の汚いプールでちょっと水泳をしました。田園風景を眺めながらの水遊びはなかなか乙です。チェックアウトの時に宿のカード読み取り機が壊れている事が判明し、急遽バイクの後ろに乗せてもらって町の両替屋に行きました。今回ずっと自転車だったけど、バイクにしても良かったかな。バイクに乗った外人をよく見かけたけど、免許とかどうなってるんだろう。

帰りもジャカルタ経由で深夜便でした。ジャカルタ経由となると国内線ターミナルも遠く面倒臭いので、次回は是非直行便で遊びに来たいです。