素晴らしい本すぎてどこから書いていいやら分からない!とりあえずメモ
論理機械の歴史概観
- 前4C: アリストテレスの論理学。次の四つの型を組み合わせる。
- A : all S is P (universal affirmative)
- E : no S is P (universal negative)
- I : some S is P (particular affirmative)
- O : some S is not P (particular negative)
- 13C ルルスの円盤。ただの組み合わせ。
- 1772 オイラーが初めて論理を図形的に解釈。
- 1779 Stanphope の Demonstrator。
- 1854 ブール代数。ブールは OR の代わりに XOR を使っていた。
- 1868 Anniabale Pastore プーリーを使った論理機械
- 1869 Jevons の Logical piano。順列組み合わせと消去法を組み合わせた機械。
- 1880s ヴェン図の発明。アリストテレスからヴェンまで殆ど論理学に進化は無かった。ほぼ同年代の Jevons とヴェンはライバル関係だが双方ブールを信奉していた。
- 1881 Marquand が Jevons の Logical piano を改良。矩形型ヴェン図を採用。
- 1886 ルイス・キャロルの The game of Logic 。矩形型ヴェン図の付録つき。
- 1885 Marquand の Hotel Announciator。初の電気式論理機械
アリストテレスの論理学は後に class logic と呼ばれる物で、ある物がどの仲間に入っているかを問題にする事が特徴だ。たとえば「ソクラテスは人間だ」というのは「ソクラテス」が「人間」という class に属している意味になる。それから論理学は基本的にその後ブールが代数的に解釈する間で変わらなかった。ブールが導入したのは propositional という物で、命題の真偽値を問題とする。ここのところ分かりづらいのだが、ブール以前以降は論理を確認するために集合に入っているか気にする必要が無くなったって事かな?
歴史が面白いのは、ある歴史を個人の認知の成長や、他のジャンルの歴史がなぞる事が良くあるからだ。私はオブジェクト指向言語の歴史にも似た物があるんじゃないかと思っている。つまり、初期の多くのオブジェクト指向技術がまさに class ハイアラーキー、オブジェクトの親戚関係を重視していたのに、最近では mixin や型クラスなど、オブジェクトの性質やオブジェクト間の関係が重視される。これは、「仲間かどうか」という認識が「ある性質を抜き出す」という認識の常に前に成長するからでは無いかと勝手に思っている。関係ない話終わり。
本を読んでいる時は分からなかったが、あとで纏めると 1880 年前後に一挙に色々な事件が起こっている事に驚かされる。近代の論理学は特にブール代数に依存している部分が大きいけど、1854 年にブール代数が発表されてから三、四十年が経ち一挙に花開いた感じだ。特にヴェン図の発明が論理の歴史を塗り替えたらしいが、ヴェンの功績というよりは、長い間認められなかったブールの業績に気づいた Jevons らも含めた共同作業だったのではないかと勘ぐってしまう。余裕があればこういった細かい事件も追って行きたいと思う。