昔アランさんに木製半加算器を見せた時に頂いたコメントは、「次はフリップフロップを作ってみては?」だった。フリップフロップは半加算器と違って、入力から出力が一意に定まらない。内部状態によって出力と次の状態が定まる「順序回路」と呼ばれる物だ。これでは半加算器に使った技がそのまま使えないので、長らく頭の片隅で放置していたのだが、この5月に大阪のグループ展で小さな作品を出品する事になり、ネタにならないか検討している。
基本的な事から考えなおすと、僕の作った木製論理機械は一般的な電子回路と色々違う所がある。例えば木製論理機械では、NOT を表すのにシーソー状の機構を使う。シーソーによって入力と出力(位置情報) を反転させる。これが最も素直な NOT の実現方法だと思うんだけど、電子回路との根本的な違いは、電子回路の NOT では出力が入力に影響を及ぼす事が無いのに対して、木製論理機械では出力の操作で入力を変更出来る事だ。木製半加算器を作った時は、入力が必ず出力より重くなるように重りを調整して、逆動作を防ぐ必要があった。しかしフリップフロップのように、出力がさらに入力にフィードバックするような回路では、重さの違いで動作の方向を決める事が出来ないのでシーソー機構で NOT を表現出来ない。
フリップフロップのような単純な回路でも、いざ木製で実現しようとすると色々難しい問題があるものだと悩みは尽きない。ちなみに今回このような検討を紙もパソコンも使わず、ほぼ脳内だけで行っている。紙とかパソコンを使うと子供が寄ってきてむちゃくちゃになるので、抱っこしながら台所や風呂のタイルを方眼紙に見立てて目で想像しながら考えるしか無い。非効率なので早くおっきくなって欲しい。。。