言語ゲーム

とあるエンジニアが嘘ばかり書く日記

Twitter: @propella

生後271日 朝

まだようやく東の空が少しだけ白み、微かに鳥の声がさえずる中で、もぞもぞと双子たちが動き出し朝の探索を始める。僕が窓際の布団で寝ていると脇のあたりを小さな手が踏みつける。次女はそのまま僕の顔を蹴って乗り越え、彼女が破った障子から覗く窓の向こうの紫陽花を眺める。

しばらくおとなしくしていると思ってよく見ると障子の枠をガジガジと噛んでいる。おっとこれはまずいと思い寝ながら彼女の体を持ち上げ、僕の体の反対側に置くとそのまま真っすぐにハイハイをして妻を乗り越え、さらにその向こうで一人で遊んでいる長女のガラガラを奪おうとする。長女は抵抗してダーと叫び、つかみ合いが始まる。

お互いにダーダーと罵り合い気が済むと今度は和室を仕切る柵に手をかけ二人で立つ練習を始める。二人は近すぎてお互いの手が肩や顔にあたり邪魔なのだが、何故かくっついて立とうとする。先週あたり見てられないくらい不安定だったが、今週あたりからちゃんと着地も出来るようになった。それでも尻もちをついてギャーと叫び、妻がなだめる。

僕は出来るだけ睡眠時間を稼ごうと聞こえない振りをして毛布を被り、微睡みの中でダーダーギャーギャー叫んでいる声を聞く。