言語ゲーム

とあるエンジニアが嘘ばかり書く日記

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近況

とりとめも無く書く。締め切りが終わったので、また読書など再開している。大島さんに薦められたドーキンスの The Greatest Show on Earth 「進化の存在証明」を七割ほど読み終えた。特に目新しい話はないみたいだけど、最近の進化論について知りたい人は良い復習になっていいのではないかと思う。

ドーキンス創造論者(神様が世界を一度に作ったと思っている人)への反論の形で進化論を説明してゆくんだけど、神様が作ったわけじゃない理由として、進化に欠陥が多くて、もしも神様が作ったんだったらこんなに馬鹿な事をするはずが無い!という例が一つ一つ面白かった。人間が突然二本足歩行を始めてしまったものだから腰痛に悩まされる話や、視神経の付ける方向を間違って見えない点がある話なんかは結構だれでも知ってると思う。

マニアックな例としては、脳から始まって喉のあたりに届く神経があるんだけど、どういうわけか心臓のあたりに回り道している。実は魚では脳から喉の途中にエラがあるのでそれが自然なんだけど、そのままの配線で進化してしまったものだからウマみたいに首が長い動物だととんでもなく回り道をする事になった。とか言うもの。

あと個体じゃなくて生態系の例で言うと、ジャングルにはすごい大きな木がそびえ立っているけど、太陽の光の量は葉っぱが高くても低くても同じなので大きな木だと効率が良いというわけではない。木が高いのは木々が無駄な「軍拡競争」をして競い合ってるからで、森全体の効率で考えると全く無駄な話である。という物。これも神様がちゃんとデザインしていない理由になる。

これは私には良くわからない事がある。例えば竹だけど、竹というのは地下茎で繋がっているので竹やぶは沢山の竹に見えて実は全体で一つの個体らしい、つまり、隣の竹同士同じ DNA なので、軍拡競争をする意味は無いはずなのに竹はとても高くなる。ドーキンスは DNA の競争が進化を支配していると言うけど、なんで同じ DNA 同士で競争する意味があるのだろう。

あと、関係ないけど、古い USB メモリを整理していたら、昔もらってまだ聞いていない Bart D. Ehrman 教授のキリスト教のオーディオブックがあった。Ehrman 教授は歴史的キリスト教について研究している人で、キリスト教のあまり知られていない側面に詳しくてとても面白い。このオーディオブックは特にイエスが死んでからローマ帝国の国教になるまでの話について語っている。

特に面白いと思ったのが、聖書が成立する以前のキリスト教は今と全然違っていて、後で異端となった教会の方がむしろイエスの同時代のキリスト教に近いという物。異端の中でもグノーシスというのが人気で、グノーシスは一番重要なのは信仰ではなく知識だったらしい。なんかモダンな感じではないか。

あと、ローマ帝国による迫害の話も色々面白い。殉教した 19 歳の女性が残した手記が残っていて、男になって悪魔と戦う夢を観たとか書いてある。でもこの大規模迫害というのもどうやらガセネタらしく、ローマは多神教なのでキリスト教が一つ増えたくらいで禁止する理由も無く、有名なネロでさえ弾圧はローマ市内だけの話で、帝国全体でキリスト教禁止とかありえない、殺されたのも百人単位だろうという話だった。

疲れたので寝ます。