言語ゲーム

とあるエンジニアが嘘ばかり書く日記

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Scratch

SqueakFest での発表の中で、僕が特に注目したのが John Maloney 氏の Scratch です。Scratch は大島さん曰く Squeak2.8 をベースに開発されたスクリプト開発環境で、etoys と同じくタイルベースでありながら、もう少し高い年齢層を対象に作られていると言う事です。といいつつ違いは微妙な物で、異なる設計思想で作られた etoys と言っても良いのかも知れません。 小中学生が自主的にコンピュータで遊ぶクラブでの利用を前提としており、先生がいなくても楽しく使えると言う事を目標にしています。

Scratch のリリースはまだ数年後の話なので、残念ながらまだ僕達が試す事は出来ません。なんとなく雰囲気を説明すると、カーネギーメロン大学の Alice と etoys を足して2で割ったような感じです。

Alice は etoys そして Smalltalk と異なりタイル状のウインドウシステムを採用しており、スタートレック TNG のコンピュータ画面や emacs のように重なり合わない窓が基本です。つまり、ユーザが世界を構築する画面は全画面ではなくて、右上の限られた一角になります。これによりレイアウトがすっきりしてスクリプトがバラバラと散乱する事を防ぐ事が出来ます。

もうひとつの特徴は、基本的に無限ループを基本とする etoys とは違って、もうちょっと普通のイベントシステムを採用しています。キーボードやマウスの他、旗というユーザ定義のイベントを発信する事によって続く動作を決めるのが基本です。無限ループが必要なときはループのタイル(名前忘れた) を使って Squeak と同じように車を動かす事も出来ます。しかしステップ時間の概念は無いようでした。

デモとしてはネコをキーボードを動かすような普通の物以外に、外部センサからの入力と写真を組み合わせて、センサに手を近づけると写真を変形するようなしくみがすぐ作れるという事を見せて頂きました。今回は子供の作ったプロジェクトもいくつかあり、Scratch で作った格闘ゲームなんて結構本格的でした。