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とあるエンジニアが嘘ばかり書く日記

Twitter: @propella

"The Great Stagnation" Tyler Cowen 著 http://www.TheGreatStagnation.com

私たちの世界はずっと加速度的に成長して行くもんだと思っていたけど、もうこれで終わりかもしれないという話。特にアメリカについて言えば、近代の急成長の原因は

  • 広大な土地
  • 19 世紀から 20 世紀にかけての大発明。私達のおばあさん世代に比べると、私達の生活スタイルは子供の頃からそんなに変わっていない。
  • 無学で賢い子供たちが潜在的に沢山いて、学校に行けるようになった事。

のような「手の届く果実」が原因だった。これが無くなってしまったので、もう期待出来ない。にも関わらず成長を続けるはずだという私達の期待は変わる事が無いので、その矛先が政治的な不満に行く。昔のように経済が成長しない以上、どこが政権をとってもみんなの不満が治まる事は無い。という事です。

例外的に IT 技術に関してだけ目覚ましい発展があるけど、今までアメリカを動かして来た自動車のような産業と違って、沢山の雇用を生まないので成長と繋がりにくい。Facebook なんか 1,700 人しか雇っていない。

解決策として、まだ取り尽くしていない果実はあるか?

  • インドや中国では沢山の物を安く作る事が出来る。アメリカ人はその分だけ発明に費せる暇な時間が増える。またインドや中国の大量の消費者を相手にすれば、今まで商売にならなかったニッチな製品でも儲かる。
  • インターネットで研究者が密に繋がればもっと発明が生まれるかもしれない。
  • 最近小中高学年の教育への関心が高まっている。教育改革が成功するかもしれない。

他に出来る事。

  • 科学者の社会的地位の向上。科学者はわりと世俗に興味が無いのを良しとして来たが、科学者の地位を上げて科学者をモテモテにしてデートに引っ張りだこ状態にしないと科学技術が発達せず経済成長も無い。

日本への言及もあります。1980 年代に日本は急成長をとげ、日本はアメリカの未来なのではないかと思われていたがその後没落した。今、低成長社会という逆の意味で日本はアメリカの未来なのかも知れない。だいたい成長していないからといって悪い事は無く、日本にはフランスのお菓子がらデパートの入り口にある自動傘巻き取り装置(?)まですごい物が揃っていてたいへん快適である。

ここまでメモ。また気が向いたら感想も書きます。