言語ゲーム

とあるエンジニアが嘘ばかり書く日記

Twitter: @propella

ワイヤレス・メッシュネットワーク

ふとメッシュネットワークが気になったので調べている。普通のネットワークが部屋や通信会社の中にあるルータの設備をみんなで共有する形で繋がっているのに対して、メッシュネットワークというのは固定されたルータを介さないで端末同士で通信する物らしい。端末さえあれば中央管理された設備を用意する必要が無いので、例えば OLPC プロジェクトの XO マシンではインフラが整っていない発展途上国でもネットが使えるよう最初から搭載されている。XO で使われている http://wiki.laptop.org/go/Mesh_Network_Details のは 802.11s と言って、普通にパソコンに搭載されている Wifi を使ってメッシュを実現する物らしい。実際に現場でちゃんと使えているのかどうかよく知らないけど、広く使われているハードをそのまま使えるなんてすごい事だと思う。

最近ではメッシュネットワークを、エジプトのように政府がネットワークを遮断した時の代替手段として使おうという http://www.openmeshproject.org/ がニュースになった。また、Peep Wireless Technology というベンチャーWifi が搭載されている機器ならスマートフォンでもパソコンでも即席のネット接続を作り出すソフト http://jp.techcrunch.com/archives/20110104peep-wireless-promises-to-create-p2p-viral-mobile-calling/ を開発しているらしい。

このような特殊用途のほか、すでに linux http://www.open80211s.org/FreeBSD http://wiki.freebsd.org/WifiMesh ではドライバの開発が進んでいるようだ。WindowsMacOS では見つける事が出来なかった。

もしもメッシュネットワークが実用化されればどんな事が起こるだろうか?なかなか想像しにくいけど、もしも大規模な利用にも耐えられるとなると、無線の届く範囲に十分な端末があれば DSL や光ケーブルの多くが要らなくなるという事だ。メールや IP 電話や ustream の動画はケーブルを通らず端末から端末にジャンプしながら届く事になる。

すでに十分インフラの整った日本では、このような物を作る利点も経済的動機も無いと思っていたけど、災害の度に繋がらなくなる電話の事を思うと、何が起こっても壊れない通信システムを作るためにメッシュネットワークを本気でやった方がいいんじゃないかと思う。今回の地震でも、電話が繋がらないばかりに多くの人が助けを呼べなかったと聞く。海の向こうにまでリアルタイムでtwitter のつぶやきや ustream の映像が届く一方で、災害のさなかの人々に肝心の情報が届かないという皮肉な事が起こっている。また情報が錯綜する中で、電話回線を本当に必要としている人のために電話を控えましょうというのも難しいだろう。こういう時こそメールでは無く、親しい人の肉声を聞きたい気持ちは責められない。

もしも堅牢なメッシュネットワークと、太陽電池程度の電力でも音声会話可能な低電力な端末があれば、本当に必要な時に助けも呼べず事情も分からないという事が防げるのでは無いか。世の中にはすでにこういう事に気づいて研究している人たちが沢山いるみたいなので、ググってあとで調べようと思う。