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とあるエンジニアが嘘ばかり書く日記

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チューリング・トレイン

チューリング・トレインはコンピュータの理論モデルの一つ、チューリングマシンの実装で、木材、金属部品、螺子とベアリングで出来ている。石炭を燃焼し、シリンダー内に蒸気を発生させる事で動力とする。理論上のチューリングマシンはご存知のとおり、無限のテープと有限の状態からなるが、残念ながら有限のテープを実装する事は出来ないので、そこは有限の金属レールと状態を示す信号木で代用する。

あまり大きくなると搬入が大変なので、大きくても3メートル四方に収まる大きさなのだが、チューリング・トレインでチューリング・トレインをシミュレート出来る程度には複雑である。

大まかに言うと、奇妙な「おさるの汽車」のような形をしているのだが、車両自体は多数の状態スイッチ「エレベーター」を持つため垂直に高い。状態スイッチを設定し、石炭をくべてエンジンを駆動する。駅に到着するとトレインは停止するが、チューリングの法則によりトレインが停止するかどうかを決定するための形式的な手続きは存在しない。

論理的には、チューリング・トレインはあらゆるコンピュータを模する事が出来る。現在の Windows マシンを模するためには環状線くらいの長さがあっても足りないと思うが、大切なのは可能性である。世の中には人間の知性自体を模倣できるはずだ。という人も居る。私はそこまで大胆にはなれないが、この不恰好な機械が知性を持つ事を考えると痛快ではある。

http://d.hatena.ne.jp/solar/20040707#p1 を読んで、まさかこういう物を本当に作ると言い出す人が居ないとも限らないので、一応書来ました。