言語ゲーム

とあるエンジニアが嘘ばかり書く日記

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論理とギリシャ語順のトリビア

Syllogism

伝統的に、ギリシャ三段論法はこんな風に書きます。

  • 大前提: 全ての人間は死にます。(全ての B は A)
  • 小前提: ソクラテスは人間です。(全ての C は B)
  • 結論: ソクラテスは死にます。(全ての C は A)

なんか違和感ありませんか?なんか順番がちぐはぐですね。なぜもっと自然に

  • 全ての A は B
  • 全ての B は C
  • ゆえに全ての A は C

と書かないのでしょうか?伝統的な論理学にはプログラミングで使う論理学とは微妙に違う考え方が出てきます。この語順についても、昔の人はバカだからわざわざ難しい書き方をしたのだと思っていました。ところが何と、これにはちゃんとした理由があったのです。なんでも、これはギリシャ語で書いたときに自然な語順になっているそうです。

ギリシア語では、主語と述語の論理の記述が逆だそうです。この語順を無理やり当てはめるとこんな風になります。

  • 大前提: 死ぬものの中に全ての人間がいます。(A は B を含む)
  • 小前提: 人間の中にソクラテスがいます。(B は C を含む)
  • 結論: 死ぬものの中にソクラテスがいます。(A は C を含む)

雰囲気は違いますが、思ったより違和感無いです。考えてみれば、日本語には氏名の順序や住所など、このようなトップダウンな語順が沢山あります。なので意外と日本人に馴染みやすい語順かもしれません。「全ての A は B である」のような書き方はプログラミングにもよく現れます。もしもギリシャ語が今でも共通語だったなら、あちらこちらのプログラミングの書き方や考え方がすっかり逆だったかもしれません。

なお、私はギリシャ語の事はさっぱり知らないので、実際のギリシャ語の書き方を知っていたら教えて下さい。

参考