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とあるエンジニアが嘘ばかり書く日記

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Disrupting Class 後半 : 正しい統治の仕方

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http://d.hatena.ne.jp/propella/20110518/p1 の続き。クリステンセンの Disrupting Class で、面白い図があったのでご紹介します。これはとある組織でどのような統治法が一番効果的かを現した物だそうです。組織にある問題がある場合、中の人々の意見がどのように違っているかに着目しています。横軸に問題の原因、縦軸に問題の解決について置き、それぞれどれくらいみんなの同意が取れているかで統治の方法が変わって来る事を示しています。例えば左下の方だと問題の原因についても解決法についてもさっぱり同意のとれない組織、右上だと原因についても解決法についてもきっちり同意がとれている組織という事になります。

力まかせ

暴力、強制、人事による物。もしも全く組織内の意見が分裂している場合、統治の方法は強制的な物しかありません。紛争解決の手段としての暴力(!)です。平和的には人事権の行使という事になります。例としては、チトーによるバルカン半島の統治、GE のジャック・ウェルチによるリストラが挙げられています。

リーダーシップ

ビジョン、カリスマ、セールスマンシップによるもの。もしも問題の原因についての意見はバラバラなのに解決手法に統一が取れている場合、それはリーダーシップによる統治になります。

管理

標準化、訓練、戦略的計画によるもの。もしも問題の原因についての同意は取れているのに、解決法についてバラバラな時は計測とマニュアルを使った管理手法が有効です。

文化

民主主義、宗教、伝統によるもの。もしも運良く問題の原因についても解決法についても同意が取れている場合、文化による統治が可能となります。民主主義や宗教と言った文化的な統治はみんなの意見がだいたい揃ってるからこそ有効になるそうです。

ここでクリステンセンの面白い所は、そもそも民主主義が有効に働く社会というのは最初から組織で同意が取れている社会だという視点です。私達は普通、民主主義を社会の同意を得る為のツールだと考えていますが、実際には原因と結果が逆で、全く同意の取れていない社会では民主主義は働かないのです。例としては、なぜアメリカの戦後民主化政策で日本と西ドイツが成功したのにフィリピンで失敗したかが挙げられています。

なぜ教育について語る文脈でこの話が出てくるかというと、教育の問題は典型的な左下に位置する、問題の原因も解決法も同意の取れない世界なので、民主主義は全く役に立たないという話になります。教育改革を正攻法で行っても多数決に負けて絶対失敗する。これを解決する方法としては、選挙で選ばれた政治家やその代理によるトップダウンの人事権の行使や、せめて革新的な教育を行う部署を全く隔離して育てる事を提案しています。

参考

  • Clayton M. Christensen, Matt Marx, and Howard H. Stevenson, "The Tools of Cooperation and Change" 探せば PDF が落ちています。