言語ゲーム

とあるエンジニアが嘘ばかり書く日記

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C5 2010 二日目

例年行事となった C5 カンファレンス Conference on Creating, Connecting and Collaborating through Computing に今年もやってきました。今回はサンディエゴの UCSD にある Calit2 というすごいかっこいい建物で行われました。ここって昔建物が新しくなる前に迎山さんに教えてもらって一回見学に来た所じゃないかなと今日気がつきました。

キーノートはここのボスの Larry Smarr と、SF 小説家の Vernor Vinge でした。正直いまいちよく聞き取れなかったのですが、Vernor Vinge の小説は今回教えてもらって A Fire Upon The Deep というのを途中まで読んでいます。どういう話かと言うと、すごい未来の話で、想像出来ないくらい変な宇宙人が沢山出てくる話です(以下ちょっとネタバレかも)。

この想像出来ないくらい変な宇宙人を考えるというのは大変な仕事だと思います。なぜなら、本当に想像つかない宇宙人を考えすぎるとまったく意味不明になってしまい、バランスが難しいからです。例えば Tins という種族は、イヌみたいな動物が何匹か集まって一つの人格を持つのですが、初登場時にはこの種族が人類を発見したという視点で語られるので全く意味不明なのです。人類が気持悪いカマキリとして語られたり、複数の犬が様々な視点から物を見ている様子が説明無しで出て来て、少し経って人間からの視点になって初めて今まで言ってた事が分かるという具合です。

そういう変な種族でも細かい描写がなかなか凝っていて、例えばこの世界で流行っている絵画のスタイルが多視点から同時に見たようになっている(ピカソみたいな?)ものだとか、人格を構成する犬が一匹死んでも代わりの犬を見つければ人格は保たれるので人格は何百年も生きるとか、人工的に犬を組み合わせて人格を造る事は人道に反する事だとされているとか、もっともらしい世界を作り上げている所が面白いです。

論文発表も力作ぞろいで、Jens Lincke による Squeak の TextAttribute を利用してソースコードの中に掲示板形式でコメントを書き合う仕組みとか、武蔵大学の加藤先生による Arduinoバイトコードインタプリタを仕込んでパソコンからビジュアルプログラミングとデバッグが出来るようにした仕組みが面白かったです。

横川さんも風邪を押して頑張って渡米され、写真を使ったコラボレーションを作る仕組みを発表されました。画面も洗練され面白いアニメーションもついた力作だったのですが、デモ画面が日本語というかなり大胆な発表でした。