言語ゲーム

とあるエンジニアが嘘ばかり書く日記

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線路を走る

線路の向こうに秘密があると聞いて、僕達は古い保育園を改造して出来た駅舎へ集まった。懐かしいメンバーがお弁当を沢山持ってきた。走る前にトイレに行こうと思ったんだけど、トイレは子供用だったので我慢する。教室の向こうで僕の名を呼ぶアナウンスが聞こえるが、僕達は構わず走り出す。

道が細くなっている所は危険だ。列車とすれ違う時に避けるスペースが無い。時折キュウカーブがあって、そういう時はさらに危険。新幹線は時速二百キロでやって来る。カーブの向こうから新幹線が突然飛び出て来たら、もう避けようが無いじゃないか。

みんなは先にカーブの向こうへ行ってしまって、今はもう独りだ。それでも慎重に、新幹線に轢かれないようにゆっくりと進む。慣れると列車が近づく前に、シャーッと線路から鳴るのに気づき、随分とコツが掴めて来たようだ。

ガソリンスタンドでエトさんが待っててくれて、木で出来たホッピングを渡された。ホッピングを使うと驚くほど速く前に進む。線路は京阪奈から紫色の夕日に照らされた大阪を見下ろす163号線に繋がる。もう時間なので新幹線は来ない。