阿修羅像というのはアシュラマンみたいな恐ろしげな物だと思っていた。だから奈良興福寺の女性受けしそうな、いかにも美少年然とした阿修羅像を見た時は随分と意外な感じがした。あとで読んだウンチク本によると、734年に作られたこの阿修羅像は、それまで顕教をモチーフにした真面目路線な造形から、摩訶不思議な異形が登場する密教芸術への流れの先駆けとなるエポックメイキングな作品らしい。
修羅のルーツはペルシアで、元はゾロアスターの神だという。きっと最初はもっと砂漠の厳しい環境に逞しく君臨する激しいおじさんだったでしょうに、シルクロードを越え日本に到着したときはすっかりアクが抜けてカワイクなってしまって大変だなあと思う。
