言語ゲーム

とあるエンジニアが嘘ばかり書く日記

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iPad を注文をする。iPad はパーソナルコンピュータなのか。HTML5 は、そして Flash はどうなっちゃうのか。

こないだ iPadApple Store で注文しました。水曜日あたりに届くらしいです。実機が届いてしまうと夢中になる可能性があるので、届かないうちに今の気分を書きます。

さて、最近 iPadiPhone 用のアプリを開発するのに使える言語に制限が出来たと大騒ぎになっていますが、そもそも iPad 自体で開発出来ないという前提があるので、どっちでも良い話だと思います。むしろ開発者の人にとっては Objective-C に触れるきっかけが出来て良いでしょう。

iPad で開発出来ない事についてはプログラミング言語マニアとしては残念です。しかし色々な物を切り捨てる事で製品の性格をはっきりさせて来た Apple らしく、残念であると同時に他のベンダにとってはチャンスでしょう。Apple 自身が閉じた世界の娯楽マシンという方向を明確に指向しているのですから、残りの陣営は自由さを売りにすれば良い。90 年代の WindowsMac のように、この手の駆け引きは繰り返されるのでしょう。今後多くの企業が iPad のパクリを作って市場が大いに盛り上がる事を期待します。

私にとってはプログラミングこそパーソナルコンピュータの本質なので、プログラミングを欠く iPad の購入は単なる野次馬気分です。よく eMate や初代 Macintosh の自慢をするおじさんたちを羨ましいと思っていたので、初代 iPad を入手しておいて後の若者たちに自慢したいです。また、素晴らしいとされるユーザインタフェースに触れて今後の糧にしたいと思っています。

ついでに HTML5 について書きます。ここの所ずっと Flash に依存した開発をしているので、最近の Flash から HTML5 への流れには正直ビクビクしています。しかし、10 年くらいは大丈夫じゃないかと思っています。

HTML5Flash の関係はアキレスと亀のような物です。HTML5Flash の機能の一部をブラウザ内に実装しようと言うもので、今まで無かった機能を実現する物ではありません。Adobe がやる気を無くさない限り(ありえる事ですが)、HTML5 の普及時には Flash はさらに新しい機能を獲得しているはずです。HTML5 が標準規格であるという性質上、単一のベンダが好き勝手できる Flash に比べて先進的な事は難しいでしょう。

もう一つ興味深いのは、iPadiPhone が Web 上の Javascript の実行を認めている件です。これは、AppleHTML5 の非力さを認めているからでは無いでしょうか。もし将来 HTML5 が十分に強力になると Apple にとって逆に難しい事が起こるでしょう。上記の言語制限は意味が無くなり、どんな言語でも(Flash でさえも) HTML5Javascript に翻訳して iPad 上で動作する事が出来る事になってしまいます。そしてプログラムが Web からやってくる限り Apple は審査不可能になるでしょう。AppleHTML5 の進化を阻止しない限りアキレスが亀を追い抜く瞬間というのはこのように愉快にやってくるのでは無いかと思います。