言語ゲーム

とあるエンジニアが嘘ばかり書く日記

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冬の読書

プレゼン前に一夜漬けで理論武装するために図書館に行く。借りた本は『アフォーダンス-新しい認知の理論』isbn:4000065122『グーデンベルクの銀河系』isbn:4622018969『身ぶりと言葉』isbn:4105107011

アフォーダンス』は阿部さんから色々聞いてましたが、僕には全然分かっていなかったという事がこの小さな本を読んで分かった。ウェブ上にも沢山説明があって、「〜が出来る」という意味だと書いてあるのだが、問題の背景を知らずに言葉の意味だけ聞いても理解不能だと思う。僕なりにざくっと纏めると、カエルは動いている物しか見えないというが、人間も同じだ!とう話。アフォーダンスについては他にも同じ著者の物が沢山あったが、どれも難しい数式があって近づきにくい。この本だけ素人向けなのか易しく書いてあったので借りてきた。

『グーデンベルクの銀河系』はアランさんの読書リスト http://squeakland.org/sqmedia/books/book_list.html のてっぺんにもある本。世界で始めて黙読について書たのはアウグスティヌスだという興味深いトリビアを色んな人から聞いて、はてそれのモトネタは何なのだろうとググルと引っかかったので借りた。他にも、例えばアルファベットの母音を使ったのはギリシア人だとか、そういうアランさんのよくやる話が色々乗っている。古い本なのでボロいが、「○○時代××をしたのは△△である」といった短い豆知識集という体裁をとっているので読みやすい。

『身ぶりと言葉』はまだ読んでないけど、同じく黙読の起源について調べると出てきたのでついでに借りてきた。

ここで、一体何をやりたいのかと言うと、以下についての理論的枠組みを探している。

  • 来るべき、プログラムが私たちの自然言語になる日に向けて。
  • コンピュータの操作は、まるで「たけしの挑戦状」のように恣意的で魔術的である。
  • これを「ゼルダの伝説」のように試行錯誤だけで自然と謎が解けるようにしたい。
  • 解決策: システム自体を手直しするか、もしくはインストラクションの考案を行う。
    • 解決策1: 試行錯誤だけで知識を増やす事が出来るデザイン。
    • 解決策2: 建築や機械のように、自然法則や人体の器械的制約を生かしたデザイン。

問題の背景

アフォーダンスの話によると、人間が外界を認識するためには運動が不可欠だという。「見る」という事一つとっても、目や頭を動かす事なしに姿を理解することは出来ない。もしそれが本当だとしたら、コンピュータのインタフェースも考えないといけない。マニュアルを読む前にまず試行錯誤を行うという事はそういう事だろうか。人間はまず手順ではなく、自分の動作によって相手がどう反応するかによって学ぶ。

問題があるとすれば、コンピュータの為に新しい常識のセットを作り直さなくてはならない事。金槌のどっちが持ち手か迷わないのは、重さと性質に対する日常の経験の積み重ねがあるからで、画面の中ではその常識が通用しない。それは自由であると同時に制限でもある。

私たちは何度もこの手の転換を体験している。声によって情景を想像できる事自体驚きだが、これはたぶん脳のハード的な進化が必要だったと思うので、有史上の出来事として、黙読によって声に出さなくても意思の伝達が可能になった事件はとても参考になると思う。