言語ゲーム

とあるエンジニアが嘘ばかり書く日記

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娘の入院

去年手術した次女に続いて、長女も扁桃腺とアデノイドの摘出を行った。去年の術後の様子があまりのも可愛そうだったので僕はずっと手術に反対していたのだが、お医者さんに診断してもらうとやはり長女にも強く手術を奨められたので渋々妻に同意した。手術が近づくにつれ、一緒にお風呂に入っている時も寝る前に絵本を読んでいる時も麻酔から醒めずにこれが最期の別れになったらどうしようと嫌な感じが止まらなかった。

新型コロナの影響で面会は一日一人だけという制限があるのだが、手術当日だけは両親とも面会が許される。手術は朝の9時からだったので、早朝義母に次女を預け8時に東京都小児医療センターに到着した。病室に入ると幸いな事に同室に同じ年の女の子がいて症状も手術の日も同じだったので、すぐにお友達になって仲良くお絵かきをしていた。次女の入院の経験からとにかくお友達を作る事が入院生活で最も重要だと分かっていたので、妻が入院時にうまくお友達になるよう取り計らったらしい。

8:40頃看護師さんがやってきて「ぼやっとする薬」を飲ませてもらう。薬は注射器のような容器に入っていて長女はぎょっとするが飲み薬だ。苦いらしく長女は少し吐いてしまった。せっかく着せてもらった手術着が濡れたので着替えをする。薬を飲んだらベッドで安静にしないといけないのだが興奮してしまったので僕は絵本『くものすおやぶん とりものちょう』を読んで落ち着かせた。隣の子もやってきて一緒に聞いているうちに長女はぼんやりして来る。

その後時間通りにやってきたストレッチャーに乗せてエレベーターの所でしばらくのお別れとなった。

後は看護師さんに渡された携帯電話が鳴るまでやる事が無い。病院内のドトールで朝食を食べ、ローソンで昼食を調達する。ファミリールームで妻は前夜のオリンピック卓球ダブルスの映像を繰り返し観ている。僕は持参したキンドル を読もうと思ったが落ち着かない。

11時ごろに手術が終わったと連絡があった。病室の前で待っていると長女の泣き声が聞こえる。声を出すと痛いはずなのだが「痛い痛いママがいない」と繰り返し訴える。顔は青ざめ唇は震えている。とても可愛そうな状況だが、意識があるのでひとまずホッとした。若い担当医は僕たちに小さなアデノイドの破片と2つの大きな扁桃腺を見せ、「予定通り終わりました」と無愛想に告げた。

せっかく戻ったが病室で痛み止めの処置が終わる間はしばらく会えないので辛かった。病室の前で長女の泣き声だけを聞いていた。

看護師さんに三時間はベッドの上で安静にして下さいと指示される。次女の時は術後ぐったり朦朧としていたのだが、長女はのどが痛い、ベロが大きくて気持ち悪いと泣き続けた。あまりにも痛がるので看護師さんに別の痛み止めを処方してもらった。痛さを1から10で教えてと聞くとちゃんと「6くらい」と答えるのでびっくりした。ただ、せっかく持ってくれた痛み止めは苦いの嫌だと言って飲まなかった。その後僕が『ファーブル先生の昆虫教室』を読むとようやく寝た。それから何時間も起きなかった。

僕は次女のお迎えのために先に帰ったのだが、長女は夕食もちゃんと食べたらしい。次女の手術の後は瀕死の状態で可愛そうで見るに堪えなかったのだが、長女は大丈夫そうだ。まだ幼いのにこんなに痛い思いをさせて申し訳ないと思う。