ビル・ゲイツによる、地球温暖化対策についての本です。邦訳も夏頃に出るらしい。教科書のように整理してまとまっているので、現状と今後を知るのに便利です。特に大切と思われる項目をメモします。
- 現在世界中で人類は 510 億トンのグリーンハウスガス(温室効果ガス)を排出している。
- 温室効果ガスにはメタンのように二酸化炭素の 120 倍も温室効果が高い物もあるので、二酸化炭素に換算した数値を排出量とみなす。
- 目標は、先進国が 2050 年までに温室効果ガスの放出を実質ゼロにして、発展途上国もそれに続く事。
- グリーンプレミアム (温室効果割増金)
- ある製品やサービスについて、温室効果ガス放出ゼロを達成するために追加で必要な費用の割合。
- この本の中核となるアイデアで、目標達成までの困難度を測る指標。
- 例えばジェット機の燃料として、石油で作った普通の燃料の代わりに温室効果を排出しないバイオ燃料を使うと燃料代が 140% 余分にかかるとする。この増えた分の 140 % がグリーンプレミアム。
- 場合によってはグリーンプレミアムがマイナスになる。例えばオークランドでは天然ガス暖房よりも電気ヒートポンプの方が安い。
- 温室効果ガスゼロを達成するには、グリーンプレミアムを出来るだけ下げるための技術革新が必要となる。
- 温室効果ガスを排出しない代替物が存在しない場合、直接二酸化炭素回収 (Carbon Capturing) のコストを使ってグリーンプレミアムを計算する。例えばセメントの生産では原理的に二酸化炭素を排出するため、セメントを生産し続けるには二酸化炭素を回収するしか無い。
- 温室効果ガスの発生源は多岐に渡っている。いくつか目処のつかない物もある。
- 政府の役割
- 企業にとってリスクの高い研究開発にもっと資金を出すべき。特に現在グリーンプレミアムの大きい分野では技術革新の効果が高い。
- 政府は温室効果ガス削減に効果の高い製品を優先して調達するべき。
かつては地球温暖化の議論は本当に起こるかどうかという物でした。それが今日では具体的な回避策の議論に移っています。日々の生活に直接結びつく問題も多いです。気がつけば石油ストーブが消え代用肉を食べる日常になるでしょう。
この本の内容は、Breakthrough Energy というサイトでまとまっています: https://www.breakthroughenergy.org/