言語ゲーム

とあるエンジニアが嘘ばかり書く日記

Twitter: @propella

環境の変化について

いつの間にか社会人になってから十年すぎていた。

未だに学生の頃の単位の足りない夢を見るので、もう十年も経つのか!と時の流れの速さにびっくりしてしまう。その十年の間、二年間は母校の非常勤とフリーター、三年間はサラリーマンで、四年間自営業で、この一年はアメリカでサラリーマンだ。落ち着いて一つの場所に居られないのは自分が悪いのか時代のせいなのか。

多分、何か選択肢があれば、常に環境を変える方を選ぶというのが私のやり方だった。これは多分私の学校嫌い、特に教師嫌いから来ていると思う。浪人時代にバイトを始めるまで、自分の学校嫌いに気が付かなかった。学校しか世界を知らないから。学校では沢山辛い事があったけど、ただ自分が劣っていて、他の人のように上手くこなせないからだと思っていた。高校を卒業してからようやく、自分じゃなくて学校が悪かったという事に気が付いた。

教師が何故あんなに偏狭なのだろうと考えて、思いついた原因が環境が固定されているからという事。これは凄く恐ろしい考えだった。私は一方で教師を尊敬していたから、なぜあんなに立派な考え方を持つ教師達が狭い心しか持たないのかとても不思議だった。もしもどんな立派な人間でも、同じ環境に居るだけで駄目になるとしたら、自分のような弱い人間はどうしようも無い事になってしまうに違いない!

ただの怨念めいた浪人生の妄想かもしれないけど、人が環境で冴えなくなるという信念は大学に入ってもっと強化される事となった。そして結果としてその後の行動は、この「同じ場所に居る恐怖」に動かされてきたわけ。

でも最近、もうちょっと落ち着くべきだと思うようになった。なぜかと言うと、自分には趣味でも仕事でも、ちょっと手をつけてほったらかしの物が多すぎるから。環境の変化は精神の為には良いかも知れないけど、それじゃまとまった大きな仕事は出来ない。同じ場所に居ても心を正しく持てる方法を誰か教えて欲しい。

むかし鈴木昭男に、なぜ貴方はこんなに人とは違う凄い作品を作る事が出来るのか聞いた事がある。彼は答えた。僕は他の人のように色んな事が出来ません。一つの場所に留まって同じ事しか出来ません。僕が人と違うように見えるのは、きっと貴方が速く動きすぎているからでしょう。