言語ゲーム

とあるエンジニアが嘘ばかり書く日記

Twitter: @propella

はじめてのおつかい

双子がはじめてのおつかいをした。学校で「ぬりえがかり」になったので、塗り絵を描くための紙が欲しいのだそうな。お母さんが見本のノートとポシェット入れた 500 円玉を一つ渡して、「これと同じのくださいって言うのよ」と指示した。何度も行ったことのある近所の文房具屋だが子供だけは初めてだ。さすがにぶっつけ本番は難しいんじゃないかなと思って、僕は後ろからついて行く事にした。

少し離れて双子の後を歩くと、二人はパーッと走って先に行ってしまった。僕が文房具屋に着いた時には大方買い物は済んでいた。文房具屋のおばちゃんは僕に気がつくと、チラリと見て会釈して笑いながらお釣りを渡す所だった。双子は誇らしげに店から出て走ってまた先に帰った。

最近子供の話を書いてないのでもうちょっと書く。小学校に上がるとすぐにピアノとバレエを始めたのだが、長女の方は去年の秋に辞めてしまった。ブリッジする時に頭が痛いからというのが理由だが、多分単に気が乗らないのだろう。土曜日にバレエに連れていくのは僕の役目だったので、次女が体育館でバレエをやってる間に長女と別の事をして遊ぶ事になった。

公園の遊具だけでは飽きるので、リュックに縄跳び、バトミントンの羽とラケット、サッカーボール、テニスボール、おやつなどを詰め込み色々な遊びに対応している。アマゾンで買ったキッズ用のラケット https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07D12BXJR/ が一番ヒットだった。面白すぎて友達が来るとラケットの取り合いになってしまう。キッズラケット付属の羽は軽すぎて風に弱いのでヨネックスのものを使うと良い。長女はサッカーボールも好きだが所有欲が強すぎてサッカーに向いていない。お友達にボールを取られるとすぐ泣いて遊びにならない。

Kaiser(カイザー) ワクワク キッズ バドミントン セット KW-597 シャトル付 ブルー ラケット/約225×28×445mm シャトル/約65×65×75mm

毎週必ず公園に来ていると他の学年のお友達とも遊ぶようになった。僕もお友達と遊んでくれた方が楽なので、バトミントンの相手をしたり結構頑張って友好関係の強化に努めた。結果学童繋がりとか、少しの縁を頼りに次々友達を作ってゆき何人かは家にも遊びに来るようになった。引っ越して二年でようやく馴染めてきた感じがして嬉しい。ただ、お友達との距離感にちょっと悩む事もある。

当初は家にお友達が来るのが珍しいのでおやつを沢山出したりサービスしていたのだが、勝手におやつを棚から出して食べるようになったり、絨毯にニスをこぼしたりえらい事になった。そこで方針を変え、おやつや Youtube は無しとか、引き出しの中の物は勝手に取らないとかルールを決めた。今ではそれなりに節度を持って遊んでいるような気がする。

双子は特に年上の四年生の女の子たちと仲が良い。四年生ともなると結構大人で、僕の仕事場に忍び込み作品を見て色々批評する。双子の同級生だとブワーッと作品で遊んで終わりなのだが、四年生ともなると大人が仕事をしながら空いた時間で作品を作るという事がどういう事なのか分かるらしく励ましたり慰めてくれる。なかなか侮れない。

ムク太郎の最期

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ヒヨチャンとムク太郎

ムク太郎が庭にやってきたのは寒さのゆるみかけた二月の中頃だった。気まぐれで庭に古いパンを置いてみたら、お腹をすかせた野鳥が何羽かやって来たのだ。図鑑で調べると嘴の黄色いのがムクドリで、頭がバサバサしてるのがヒヨドリだった。ムクドリは必ず一羽ペアで現れる。そのうちの一羽はどういうわけか少し高い所から相棒が忙しく餌を食べるのを見守っている。そして他のヒヨドリやハトがやってくると近づいて威嚇するのだ。その男前な振る舞いに妻が大変気に入り「ムク太郎」と名付けて大層かわいがっていた。

不思議な物で、毎日観察していると同じように見える鳥たちの見分けが付いてくる。僕のお気に入りのヒヨドリの「ヒヨチャン」は臆病で、ムクドリがいない時にこっそりやってくる。他のヒヨドリは二羽三羽仲間とやってくるのだが、ヒヨチャンだけはいつも一人ぼっち。いつもムク太郎に虐められて可愛そうなので、大きいムク太郎に邪魔されにくい細い枝の先にミカンを刺すと喜んで食べる。

ここへ引っ越してまだ二年目なのだが、ご近所を覗くと結構みんな鳥に餌をやっている。これは今まで知らなかった趣味だ。朝食を食べながら鳥たちを眺め、この二匹は初々しいとかこっちは三角関係だとか勝手にストーリーを膨らませると楽しい。

そんなある朝の事。僕が地下室で作業していると庭からギャーギャーと尋常ならざる声がした。ムク太郎は喧嘩っ早いのでいつものように他の鳥を追い払っているのだろうと気に留めなかったが、次女が嘴のような物が庭に落ちていると言う。まさかと思い庭に出ると鳥の羽根が一面に散乱し、中央に黄色い嘴が落ちていた。

羽根と嘴以外は何も無い。猫の仕業かカラスなのか、綺麗サッパリ食べ尽くした痕だった。羽根と嘴を埋めながら、ふとこれがムク太郎ではありませんようにと願ってしまう。それ以来ムクドリヒヨドリも来なくなった。

犠牲になったのが誰なのか知るすべは無い。しかし季節は移り、わざわざ目立つ庭に来なくても餌にありつけるようになったので、きっとムク太郎夫婦はよそで元気に暮らしているのだろう。代わりに最近小さなシジュウカラが訪れるようになった。

シジュウカラは餌に見向きもせず、庭木をつついて芋虫を捕るのに忙しい。

圧力論理回路の世界

世界に様々な仕組みの論理回路がありますが、ここでは空気を使った論理回路を紹介します。ISO にもなっているくらいなので、案外相当広く使われているのでは無いかと思います。

OR バルブ (シャトルバルブ)

OR バルブというのは、二つの入力のどちらかが ON になると、一つの出力が ON になるバルブです。例えば空気圧で粉が出てくるような機械を考えます。遠くに離れた二つのスイッチのどちらを押しても機械が作動するようにしたいという場合に使います。

動作原理は次のとおりです。二つの入力の間にボールのような弁があり片方の入力に圧力がかかるともう片方の入力が塞がります。それにより中央の出力に圧力がかかるという仕組みです。

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OR valve

記号

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OR valve

出典: (Logic Functions Pneumatics Module 7)

製品例

https://jp.misumi-ec.com/linked/material/mech/SMC1/PHOTO/221302236988_001.jpg?$product_main$ 中継機器 シャトルバルブ VR1210・1220シリーズ | SMC | MISUMI-VONA【ミスミ】

AND バルブ (ツインプレッシャーバルブ)

AND バルブとは、二つの入力の両方が ON になった時だけ、一つの出力が ON になるバルブです。例えば巨大な板を曲げるような危険な機械を考えます。用心して二つのボタンを同時に押した時だけ作動するようにしたいという場合に使います。

動作原理は次のとおりです。図のように、二つの入力の途中に弁があり、片方だけに圧力がかかると蓋をするようになっています。両方同時に圧力がかかった時だけ、弁が浮いて出力に圧力がかかるという仕組みです。

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AND valve

記号

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AND valve

出典: (Logic Functions Pneumatics Module 7)

製品例

https://jp.misumi-ec.com/linked/material/mech/SMC1/PHOTO/221006298752_001.jpg?$product_main$ 中継機器/ワンタッチ管継手付アンドバルブ VR1211Fシリーズ | SMC | MISUMI-VONA【ミスミ】

NOT バルブ

NOT バルブというのも存在するのですが、うまい説明を見つけられませんでした。見つけたら追記します。

参考

海外に小型包装物を送るメモ

小さなものを安く海外に送るためのメモです。国際郵便の料金と日数を計算するために、まず https://www.post.japanpost.jp/cgi-charge/ で調べます。私の場合小型包装物 https://www.post.japanpost.jp/int/service/small_packing.html 十分でした。小型包装物の準備には以下の物が必要です。

国際郵便マイページサービスでは以下のようします。

  • 画面に従って商品名、重さ、価格を入れ、最後にラベルとインボイスを印刷します。
  • 両方に署名します。
  • 送り状に記載した発送予定日の前後七日間は有効だそうです。
  • ラベルには、関税告知書 CN22 も含まれています。

郵便局でハンコを押したり色々あるので、パウチに入れたラベルとインボイスは封をしたり貼り付けないで荷物に添えて郵便局に渡すと良いです。

The Autobiography of Jean-Luc Picard

The Autobiography of Jean-Luc Picard (English Edition)

邦訳は 『自叙伝 ジャン=リュック・ピカード』。

新スタートレックの主人公で USS エンタープライズ号のピカード艦長による自叙伝です。阿部さんの「フランスのワイン農園出身のピカードが紅茶というのは、なんかイメージがつながらないんですよね。」という疑問が気になって読み始めました。

ただ疑問は解決せず。紅茶については、彼の父について

He developed a love of Shakespeare, which he passed on to his sons, as well as fondness for Earl Gray tea.

と短く触れられているのみ。つまりピカード艦長の英国文化好みは父譲りですが、それが何故なのかは謎のままでした。

さて、この本は自叙伝というだけあってピカード艦長の視点で一生か語られるわけですが、びっくりするほど楽しめました。TNG が好きな人にとっては数々の名場面が思い浮かぶと共に、何となく疑問に思っていたピカード艦長の性格、例えば子供嫌いな所や他人に頼れない所がどこから来るのか、青年時代のエピソードと共に赤裸々に語られて納得感があります。特に父親に対する反発と和解は、テレビドラマでは断片を伺えるだけだけだったのでこの自叙伝ならではの読み応えがありました。

ただ、父親の遺志の謎が解け、Stargazer を大破させ軍事裁判にかけられた後の Chapter Nine 以降はドラマのあらすじをただなぞるだけなので、付け足し感がありました。

全体的に TNG ファンにはとてもおすすめです。

運動会、自転車、ハロウィン、参観日、七五三

新型コロナ第五波も収まったので、この秋はイベント盛りだくさんであった。

まず小学校初めての運動会。一年生の運動会というとおじいちゃんおばあちゃんも呼んで盛大に行われるものだが、うちの小学校では感染予防のため一学年ごとに親だけ参加するという変則的な形で行われた。一学年ごとなのでめちゃくちゃ短い。30 分くらいでかけっこをしてダンスをしてそれで終わりである。一学年二クラスしかないので体育の授業参観のような不思議な運動会であった。待つ必要も無く子供の姿もゆっくり見れたのでそれなりに楽で良かった。

いつの間にか双子は二人共同時に自転車に乗れるようになっていた。初めて双子をレンタル自転車に乗せたのは二年半ほど前の事だ。こま付きで練習したがなかなか上達しなかった。引っ越してからは新しく自転車を買ってやったがあまり面白く無いらしく乗らなくなった。それがどういうわけか珍しく妻が乗せると振らつきながらも足を着かないで乗れるようになっていた。僕はあんなに練習させたのに自転車に乗れる瞬間に立ち会えなくてショックだ。多分小学校の友達が乗っているので突然双子のモチベーションが上がったのだろうが不思議な事だ。

事前にお手紙のような物を双子が近所の友達に配り、ハロウィンに変装してお菓子をもらいに行くというまるで押し売りのような事をした。まだ新型コロナの影響があるのと、当日天気が悪かったのにも関わらず何人かのお友達は変装して迎えてくれた。私も近所のどこに双子のお友達が住んでいるか把握出来て良かった。妻の友人も変装して来てくれた。お手紙は双子が書いた意味不明ななぞなぞだったのだが、一人の女の子だけが真面目に回答してくれた。男の子はお手紙の事は全く触れてくれなかった。

参観日もあった。子育ては自分の過去の追体験だ。親として参観日に来るなんて妙な気分だな。双子なので途中教室を移動した。二人とも一度も手を挙げること無く、先生に当てられる事も無く、地味に終わった。久しぶりの教室は興味深かった。クーラーがあった。椅子の四足の先にテニスボールが付いていた。消音のためかな。それ以外は自分の子供の頃と変わらない教室の姿だ。

七五三には引越し後初めて義父と大阪の母を呼んだ。子どもたちはノートの切れ端に自作の絵本を書いておばあちゃんに読み聞かせていた。ストーリーはめちゃくちゃだが、自分も小学校の頃よく絵本を書いたなと懐かしくなった。興味深い事に、次女は長女が書いた文をそのまま使って別の絵で絵本を作った。長女は真似をされて嫌がったが、もしかしてこれってスクラッチのリミックス文化に影響されたのかな?

最近の一日。

  • 5:00 起床。ランニングに行ったり、行かなかったり。昔は 11km 走っていたが、血尿が出て以来 5km に押さえている。
  • 6:00 双子が起きる。YouTube Kids を観たり、スクラッチをする。タイマーで 7:10 に止まるようになっている。
  • 7:30 朝食。パンが多い。
  • 8:00 双子は登校。私はゴミ捨てと洗濯物ほし。
  • 9:00 仕事開始。妻は車で出勤。
  • 12:00 朝食。一人の時はコーンフレーク。妻がいる時は食べに出る。
  • 19:00 夕食。
  • 19:30 日によってはランニングに行く。
  • 20:00 風呂を洗って双子を入れる。
  • 21:00 双子に本を読みながら寝かしつけ。
  • 22:00 就寝。

1984

一九八四年 (ハヤカワepi文庫)

有名な小説なのでタイトルだけは知ってました。つい最近読んだので感想を残します。

1984 に影響を受けた様々な SF を読んだ事があるからか冒頭の「ビッグ・ブラザー」による監視社会の描写はちょっと退屈になってしまいましたが、うだつの上がらないインテリ中年主人公ウインストンがみんなで悪人を罵り合う Two Minutes Hates という面倒くさい会社イベントで突然後ろの女性が気になってしまい勝手に一人で感情をこじらせ憎悪する描写のオタク臭さには笑ってしまいました。

それから骨董品屋で手に入れた日記帳をこっそりしたためたり、突然目の前でわざとコケた女の子に告白されてエッチな展開になったり、非常に都合の良い展開だったので、これは前世紀のオタクの先祖が自分の願望を込め、共産主義が勝利した 1984 年の架空の世界で革命を起こしてスッキリする話だとばっかり思って読み進めていたら後半さっぱり違ったので驚きました。また色々読み取れなかった部分もありました。例えば:

We shall meet in the place where there is no darkness,

7年前にオブライアンがウインストンの夢の中で語り、ウインストンは彼に救われる事を夢想するかっこいいセリフです。現実ではウインストンがオブライアンに語り後で痛々しい皮肉な意味となるわけですが、オブライアンが7年間ウインストンを観察していた事から、単なる夢では無かったようにも思えます。

また

You are the last man, You are the guardian of the human spirit. You shall see yourself as you are.

と言われて拷問を解かれるシーンでは、色々あったが実は大逆転でハッピーエンドだと思いこんでしまったので(ネタバレ略)。

ウインストンの疑問:

"I understand HOW: I do not understand WHY"?

は結局よく私には理解出来ませんでした。ネット上に書評が山程あるので、しばらく暇つぶしになります。最終章の人工言語 Newspeak の解説は言語によって思考をどのようにコントロールするかという解説で勉強になりました。Newspeak をネタにするのは相当悪趣味だと分かったのも良かったです。サラリーマンって DOUBLETHINK の毎日です。